人間国宝 九代目 岩野 市兵衛さんの
越前奉書生漉和紙ができるまでの行程をご紹介いたします。
ムービーでもその繊細な動きを
ご覧いただくことができます。
これが、原料になる楮です。光沢があって繊維が細かい良質である茨城産の那須楮を使用します。
冬の間に白皮を剥ぎ、乾燥させた那須楮を清水に丸一日晒してアクを抜き、ゴミやキズを取り除きます。きれいになった楮をもう一度水煮し、更にソーダ灰(アルカリ性溶液)を加えて3時間半から4時間かけて釜で煮ます。
繊維を光と水に通しながら、細かなゴミやキズを手作業で丁寧に取り除いていきます。
欅(ケヤキ)の台に楮の塊をのせ、重たい樫(カシ)の棒で叩いて、楮の繊維をほぐします。
叩解した繊維を清水の中でぐるぐるかき混ぜでんぷん質や不純物を取り除きます。繊維のヌメリが落ちサラッとした感触になるまで、丁寧に洗い流しを繰り返します。
和紙の流し漉きの際、水が落ちるのを遅くさせ繊維を均一にからませるため、トロロアオイの根とノリウツギを混ぜた植物性粘剤を布袋で濾し加える。
紙料を紙槽の中で揺り動かし、簀(す)の上で紙をつくります。簀は縦ゆりだけで紙を漉いていきます。
※簀(す)...紙漉き道具。
漉き上がったばかりの湿った紙を1枚1枚丁寧に重ねていきます。
はね木に吊り石を掛け、均一に圧がかかるよう調整しながら脱水します。
脱水した紙を一枚ずつ銀杏の木の板に貼っていきます。
室(むろ)と呼ばれるところに入れて40~50℃ぐらいでゆっくり乾かします。
出来上がった紙を一枚一枚検品して、全ての作業行程が完了です。