創業当時と同じレシピでつくる名刺へのこだわり
山櫻の名刺は、ロータリーカッターという機械で裁断しています。名刺の切断面を美しくするためにはこの方式でなければいけません。ハサミで切るのと同じで、紙の粉などが出にくく、なめらかな切断面になるのです。創業当時は手動式でしたが、現在は全自動でできるようになりました。時代によって技術は変化しても、ロータリーカッターで切るという考えは変わりません。これは名刺ブランド山櫻の創業当初から続く、こだわりの生産工程です。
本社B1工場(1961年頃)
作業風景(1972年頃)
創業当初使用されていたロータリーカッター
当社ではロータリーカッターで一枚ずつ名刺台紙を断裁している。スリッタ―というのが正しい呼び方かもしれませんが、当初からカッターと称している。一枚ずつ断つのは、昭和6年の創業当時手差しの「押し切り」でカットしていたからであろう。この機械は、1号機だと伝えられているが、まだ年代の確定が出来ていない。昭和20年代前半には既にあったとのことであるが、戦中戦後の資源のない時代では考えにくく、時代は更に遡り、昭和10年前後のものであろうか。手掛かりは、モーターの製造番号と「5円で買った」という創業社長の言葉がヒントである。過去の周年記録によると、「昭和10年当時は、大断も小断もまだ手差しの押切を使用しており、間もなくロータリーカッターが入った」とある。弊社創業の市瀬邦一社長が支那事変に出征していることを考えると、昭和11年前後の購入であろう。
ロータリーカッター1号機は、新木場物流センター(Sakura Cube)1階に展示しています。
八王子の森工場で生産活動が変化
2009年に八王子の森工場が完成し、昭島工場より全ての設備を含め移転しました。この工場全面移行により、旧工場とは大きくインフラが変わりました。以前は三棟にわたって作業していたものが、全ての工程が一つの建物に集約されたことで、機械のレイアウトや作業導線、ライン構成がスムーズになりました。そのため作業効率、生産性ともに向上し、より良い製品を作ることが可能になりました。
マイスター制度を導入した理由
昔のように技を盗むのではなく、きちんと若い世代に、職人の技を継承していくために教育体制が必要だと感じ、それまでの技術をきちんと明文化して、正当な値で評価する制度を導入しています。次世代にも、山櫻のものづくりの技術が失われることなく、技術の継承ができる体制を構築していきます。
旧立川工場(1963年頃)
旧昭島工場(1972年頃)
旧昭島工場(1985年頃)
大切なのは使われる時までの「鮮度」
「紙は生きもの」とよく言われるように、気温や湿度によって紙の繊維が伸び縮みし、丸まったり表面にしわができたりします。製造されてからお手元に届くまで、どれくらい鮮度を高く保つことができるか。山櫻では、在庫管理システムで全社の倉庫内をリアルタイムに把握できるため、余剰品を持つことがなく、常に作りたての製品をお届けできるのです。より良い紙製品を、より良い新鮮な状態でお届けするために、私たちはITシステムにも力を入れています。
最適なロケーション管理
「八王子の森工場」で製造した製品は、新木場にある「Sakura Cube(サクラキューブ)」という物流センターで保管します。製品を良い状態に保てるように、入出庫の際には特に注意を払っています。製品数、様々な形やサイズがあるため、それらにあった形で適切な場所、最適な置き方できちんと保管することを徹底しています。
梱包・保存の仕方
アメリカンロックと呼ばれる特殊な形状の箱を使用しています。通常は開閉口が上にありますが、平積みにするとどうしても下にある封筒が傷んでしまいます。保存している間に、製品が傷んでしまうことのない様、段ボール箱の強度や形状など、そして置き方にも細心の注意と工夫をしています。
配送用トラック(1954年頃)
旧築地本社倉庫内(1972年頃)
旧築地本社外観(1985年頃)
調達も地球環境から考える
山櫻は環境配慮を強く意識しており、再生紙を利用した名刺用紙の販売を業界に先駆けて開始して以来、非木材紙、間伐材といった環境性の高い原材料を利用し、自然環境破壊に配慮のない原材料を極力削減するよう意識して仕入れをしています。その中で最も環境負荷が少ないこととされているのがFSC®認証紙です。FSC®認証紙とは、適切に管理された森林から作った用紙のことです。その紙を多く活用することで環境負荷を軽減していきたいと考えています。
SDGsへの貢献のためにも2025年までには既製品の95%をエシカルな製品とすることを目標に掲げ、FSC認証紙、フェアトレードペーパーなどを積極的に材料に使用し、皆さまに選ばれる新しい山櫻ブランドの確立を目指しています。
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